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奴隷労働の準備が整った #6

「今後の予定B」の通りですが、スーパーホテル上野・御徒町は「研修委託店舗」であったのに対して、JR上野入谷口が「現場研修」となっており、違いがありました。

「今後の予定B」6月生候補生オペレーションチェックシートB(変更計画)

「今後の予定B」6月生候補生オペレーションチェックシートB(変更計画)

そのせいか研修計画の通りとならず、つぎのようになりました。

スーパーホテルJR上野入谷口での現場研修

  • 「銀座チーム」8月24日~27日(4日間)
  • 「休日交換した出勤」8月27日(1日間)
  • 「独自運営」8月28日~9月1日(5日間)

我々は、スーパーホテルにだまされたことが、ショックで混乱していました。しかし、スーパーホテルのどこの店舗でも、我々は運営できる実力を身につけていました。

なぜなら、これまでの研修で紹介して来た「統一マニュアル」の教材によって、スーパーホテル社員と業務委託が同じ研修で共に学び、同じ業務方法で運営されているからです。

「銀座チーム」との4日間

スーパーホテルの社員が運営する直営店「スーパーホテルPremier銀座」の出店計画があり、その準備するグループがスーパーホテルJR上野入谷口に拠点を構えていました。このグループの社員やアルバイトは、通称「銀座チーム」と呼ばれています。

「8月24日~27日」は、銀座チームが運営した最後の4日間に当たります。

当時の責任者は、スーパーホテル東日本エリア直営店総支配人大木育(のちに私への集団暴行・監禁の関係者となる1人)と上原副支配人でした。上原副支配人は、説明会に“新入社員のサクラが参加している”と口を滑らせた人物です。

銀座チームの運営状況は、8・9月度勤務表からわかりました。

支配人・副支配人、8人の社員、8~9人のアルバイト、そして1人の夜間警備員となっていました。なお、朝食担当のアルバイト2人がシフト表から抜け落ちています。それは、銀座チームの出店ホテルには無料朝食がなく、朝食担当のアルバイトをシフト表から外していたようです。総勢22名以上の大所帯でした。

大木総支配人の自慢話

「今後の予定B」の通り、我々は12時から出勤しました。すると、上原副支配人が「話を聞いていないので、我々が移転するまでフロントに入らないで下さい」と言うのです。さらに研修レポートの提出もなくなりました。

我々は、「今後の予定B」と違うので困惑します。ロビーで我々はどうするか話し合いました。いくら考えてもどうにもならないので、チェックイン手続きだけお願いして、客室でどうするか考えることにします。

8月24日~9月1日までスーパーホテル上野入谷口で研修していた証拠

8月24日~9月1日までスーパーホテル上野入谷口で研修していた証拠

結局、館内設備やホテル周辺の調査で過ごすことにしました。17時頃になり、大木支配人より食事に誘われます。大木支配人と上原副支配人、そして、我々の4人で近くの居酒屋に行きました。

このときの大木支配人の言動は衝撃的なものでした。我々は、4人掛けの個室テーブルに案内されます。料理や酒などを注文して、お酒を飲み始めたすぐのことでした。

上原副支配人が大きな声で「お尻触んないでよ!」と、大木支配人に向かって怒鳴ったのです。我々は、何が起きたのかわかりませんでした。よく上原副支配人の話を聞いていると、大木支配人が上原副支配人のお尻を触ったと怒っていたのです。何度もやっているようで「いい加減にしてよ!」や「また」という言葉が怒鳴り声に交じっていました。

我々は、ただの研修生で正社員の2人は格上です。静かに口論を聞いていました。少しすると、大木支配人は突然、私に謝り出したのです。

我々がスーパーホテル上野・御徒町で研修していた際、大木支配人と立ち話をしたことがありました。私の父が急死した直後、たしか8月10日のことだと思います。

大木支配人は、私がとても暗い顔をしていたのが気に食わなかったそうでした。採用トップの人材開発部の高森次長に電話して、大木支配人は我々を“失格にすべきだ”と言ったそうです。しかし、高森次長より私の父の急死したことが原因だと聞いて、大木支配人は反省したと言っていました。

上原副支配人との口論のあと、私にわざわざ知らせる話ではないと思いました。それ以外に業務委託の支配人時代のこと。三河安城のスーパーホテルを任された際、奥様と性交したまま電話で予約を取ったと自慢していました。

大木支配人は本当に非常識な人間だと、我々は話し合った記憶があります。

現場研修の5日間

2018年8月27日、銀座チームは移転の最終日でした。私は、父の葬式だった8月16日と27日の休日を交換します。そのため、私だけ27日の昼パートで働きました。

その翌日の8月28日から「今後の予定B」の通り、我々はスーパーホテルJR上野入谷口の「独自運営」を行います。この店舗は、業務委託の龍頭支配人と上田副支配人が管理していました。

彼らは、スーパーホテルコンサルタント本部業務サポートグループに所属しています。通称は「業サポ」と呼ばれているそうです。スーパーホテル社員と古株の業務委託の支配人・副支配人で混成された部隊で、つぎの業務を担当しているとお二人は教えてくれました。

業サポの担当業務

  1. 「管理者不在のホテル」の運営
  2. ホテルの「引き取り・引き渡し」を行う
  3. Bに付帯する公的届出の手続き

管理者とは、我々のような業務委託のカップルを意味しています。この管理者の配属まで、“業サポ”所属の社員や業務委託の支配人・副支配人によって、ホテルは運営されているそうです。

労働法が必要ない社会の「独自運営」

とうとう研修委託店だけでなく、名目上ですがスーパーホテル社員が運営する直営店でも、我々は「独自運営」することになりました。“業サポ”の上田さんが「昼パート」で働く私の指導者となり、「夜パート」の氏家さんは龍頭さんが指導したそうです。

“銀座チーム”と“業サポ”が作ったシフト表によると、業務委託の龍頭さんと上田さん、スーパーホテル雇用のアルバイトが朝食2人、同じくフロント4人、そして、契約形態が不明な我々を含めると総勢10人でした。

ちなみに店舗のアルバイトは、龍頭さんと上田さんを社員だと思い込んでいます。スーパーホテルが直接雇用するアルバイトに対する指揮命令は、スーパーホテルの社員でなくてもできるのでしょうか。何の法律に基づくのか、労基署や労働局は教えてくれません。

すでに紹介したことですが、我々の業務は「支配人・副支配人の時間帯」の交代シフトを単純にこなすものです。店舗が変わっても、設備に違いがほとんどありません。スーパーホテルで働く者は、全員が同じマニュアルで学びそのマニュアル通りに働きます。だから、すぐ研修の通りに仕事ができました。

我々は、スーパーホテルにだまされた混乱状態がずっと続いています。とにかく身につけた19時間30分間のシフト業務をスーパーホテルが雇用するアルバイトも使いつつ、我々は独自運営しなければなりませんでした。

まず、我々が553日間のほとんどの時間を過ごした事務室から紹介します。

「1人分の机と椅子」しかない場所でした。とくに室内は狭く暗い空間となっており、窓も小さく日も差し込みません。また、下の写真のようにデスクのあるスペースは1畳くらいの広さしかありません。座った真上にクーラーがあり、常時ファンの機械音がしました。また、右側の真横には事業所用の分電盤がありました。

下の動画のように床が傾いています。床に電池を置くとそのまま転がって行くほどです。毎日、デスクワークだけでなく、フロントで接客するのでずっと座っているわけではありません。それでも一日12時間以上は、座っています。2018年12月ごろから激しく腰と肩、首が痛くなりました。2人とも定期的に整骨院に通院して、長時間の座り仕事に耐えていました。

デスクワークは、インターネットが唯一接続された事務室デスクのパソコンを使い行います。ホテルシステムや会計システムが使用できる唯一のパソコンだからでもあります。

つぎに我々が「研修センター」と「研修委託店」の両方で身につけた19時間30分のシフト業務の紹介です。「業務チェック表」の時間帯別の業務、「ホテルシステム」と「会計システム」を使った業務、朝食発注に関わる「ネット発注・FAX」を使用して行う業務などがあります。

これを合わせたものが、我々が実際に行った「時間帯別業務表」です。

時間帯別業務表

時間帯別業務表

この表の一番左側には、作業の発生時間が記載されています。右隣り白色の部分が「業務チェック表」に記載された業務です。この業務を全部ができないと研修合格しません。

業務チェック表

スーパーホテルJR上野入谷口の業務チェック表

事実、6月生候補生オペレーションチェックシートBの「当初計画」と「変更計画」には、「5欄目」の矢印が引かれた部分に「業務チェック表全ての項目」という文字が記載されています。

また、「■候補生研修評価基準」というものにも、我々の評価に際して「□業務チェック表に基づき、全ての業務を自ら遂行できる」ことが「研修委託店舗」の業務委託の支配人・副支配人によって評価されていたようです。

「時間帯別業務表」の黄色の部分は、副支配人の私が行う「昼パート」の業務です。朝5時30分に始まり、夕方17時頃に終了します。また、水色の部分は、支配人の氏家さんが行う「夜パート」の業務でした。昼13時から始まり、深夜25時頃(1:00)に終わります。それ以外のピンク色の部分は、支配人・副支配人が二人で対応する業務です。

ホテルはサービス業であり、宿泊客への接客は24時間体制です。夜間対応は、スーパーホテルが「大阪にある夜間コールセンター」で受けると勝手に決めています。しかし、消防法でホテルに防火体制が夜間に配置する定めとなっており、夜間コールセンターを設置すること自体が無意味です。

実際、我々はこの「時間帯別業務表」より長く働いていました。私は、シフト業務が終了する17時頃から21時頃まで勤務しており、氏家さんは25時頃ではなく翌朝5時30分まで勤務しています。我々二人とも、疲労が蓄積しすぎて一人では起きられない状態でした。

特に朝5時30分からの朝食準備の業務は、私が起床するのに困難な理由だけでなく、朝食担当のアルバイトも休んだり遅刻したり、不測の事態で定時に無料朝食が開始できない可能性がありました。そこで、氏家さんが私を朝起こして、さらにアルバイトの勤務開始を見届けてから仮眠を取るようにしていました。

“仮眠”と書くように「365日24時間対応」が前提なので、休憩時間がなく仮眠なのです。

私の業務である黄色の部分ついて、少し説明したいと思います。

やらないと店舗が止まる「経理業務」と「朝食発注業務」がありました。経理業務は「ホテルシステム」及び「会計システム」を使いますが、朝食発注業務は地域ごと発注先が異なるため、実務研修だけでマニュアルはありませんでした。また、朝食発注だけでなく、朝食の余りの廃棄ロスを計測してホテルシステムに入力する作業もあります。

「経理業務」は、システムの管理画面がないと説明できないものばかりのため、残念ながら文章で表現しても伝わりません。そこでマニュアルだけ紹介します。経理の作業自体は、遅くても1時間程度のものです。

しかし、経理の作業中に電話やフロント対応、清掃業者などから呼ばれたりすることが頻繁にあります。そのため一旦作業を中断すると、数え終わっていない現金(100万円前後)などをすべて金庫に戻して鍵をかける必要がありました。

こうした中断を何度か繰り返しても、12時までに同社へ稼働率情報を送信する「本締め」を完了しなければなりません。

しかも、お金を計算して記帳する作業は、正確に行うことが前提となっています。私1人だけの「10時過ぎ~13時頃」までの時間帯は、とても不安でした。正面玄関は1階フロアの唯一の出入り口で、いつも開いています。フロントはカウンター脇が通路となっており、暖簾の奥が事務室です。通路を塞がれたら逃げ道がありませんでした。

事務室から正面玄関まで障害物がない

事務室から正面玄関まで障害物がない

2020年3月24日にそれが証明されます。山本晃嘉副会長、奥森賢治部長、芝原邦佳次長、内田辰也課長、大木育支配人の男性5名によって、私1人が接客していたときに暴力で「事務室に監禁」されました。

経理業務には、前述した毎日の業務以外に「25日処理」と「月次処理」があります。マニュアルを紹介しますが、スーパーホテル名義の店舗に届くすべての「請求書・納品書」に私か氏家さんの印鑑を押して、下の表紙をつけて本社に送ります。

不足なく100枚近い書類をまとめないと行けません。また、1万円以上の請求書には「稟議印」を押して、稟議状況を手書きで「稟議№」などを記入します。さらに1万円以上3万円未満の請求書があった場合は「支出(費用)内容連絡票」に記入して、請求書に添付しなければなりません。

「店舗決算業務」まであり、年2回のもっと細かな店舗の現金金種や在庫、書類保管棚の証明写真などの提出が求められます。

氏家さんの業務である水色部分についても紹介したいと思います。

支配人には、毎日膨大な入力作業があります。それが客室販売の業務でした。販売する客室を「在庫」と呼び、その宿泊料金を「価格」と言っています。スーパーホテルでは、「在庫」と「価格」を調整することを“ルームコントロール”と総称して呼んでいました。

“総称して呼んでいた”とは、価格調整を「イールド・コントロール」と一般的に言い、在庫調整を「ルームコントロール」と呼ぶからです。

客室販売の全体像を簡単につかめるように、まず「プラン延長」から説明します。プラン延長とは、客室販売する宿泊予約サイト(じゃらんなど)や自社ホームページ(以下、自社HPと略します)の宿泊プランを“文字通り”、延長することです。宿泊プランは、すべての販売サイト(自社HPを含む)で、当月を含んだ「6ヶ月先」まで販売する決まりとなっています。

このプラン延長は「毎月更新」する必要があります。そのため、新しい月となったら「6ヶ月目」がずれるので「更新手続き」を行う必要が発生します。更新手続きは、すべての販売サイトで6ヶ月目のプラン価格を「手入力する」必要がありました。

これがとても“手間のかかる”作業です。

実際、JR上野入谷口で販売していた「宿泊プランは5つ以上」もあり「1名・2名利用の2つ」があります。そして、“曜日”と“利用人数”ごと指定の「価格表」がありました。これらの情報を整理して、宿泊予約サイトの「じゃらん」や「楽天トラベル」、「るるぶ」、「アゴダ」、「自社HP」の5つに手入力する必要があります。しかも「価格」と「在庫」の2つの管理画面がありました。

手入力作業数を簡単に試算すると、つぎのとおりです。

プラン延長「手入力作業数」

プラン延長「手入力作業数」

宿泊プランなどを乗じた値は、「3,000」もの手入力作業があることがわかります。このプラン延長(ネット延長)は、毎月末に行います。翌日にずれ込んで作業すると、6ヶ月目の予約が取れない状態となるので、店舗に問合せの電話が来てしまいます。それゆえに遅らせることもできません。必ず月末にプラン延長の作業を完了しなければなりません。

スーパーホテルの支配人は、こうした膨大な入力作業を月末に一人で作業しなければなりません。氏家さんの場合、だいたい5時間くらいを要します。なお、月末は副支配人が「25日締め」と「月次処理」の2つを行っており、膨大な会計資料などを提出するための作業で手伝うことはできません。

JR上野入谷口は「69室」の客室があるホテルですので、1日の在庫量は「69室」でした。30日の稼働日数だと在庫量は「2,070室」、180日の稼働日数では「12,420室」です。

当月を含めた6ヶ月先までの予約ができるので、この180日間に動く「客室12,420室」の売り行きを支配人は管理しなければなりません。正確に言えば、「12,420室を売り切る」ことが仕事でした。

他のビジネスホテル・チェーンがこの実態を知ったら笑う話ですが、業務委託の支配人たちは驚くほどの手入力作業を毎日行っています。プラン延長で行った作業数をそのまま6ヶ月分に拡大させれば、支配人が日々行う必要がある客室の「価格と在庫」の調整作業の最大作業数となりました。

価格・在庫の調整「手入力作業数」

価格・在庫の調整「手入力作業数」

実際、毎日の売れ行きが変化しても毎日18,000回の手入力が発生するわけではありません。しかし、物理的に不可能な手入力作業をこなすよう仕事することが、スーパーホテルより求められていました。

毎日の「価格・在庫」の調整を氏家さんは深夜に行っていました。「時間帯別業務表」の水色の部分が朝5時30分まであるのは、この手入力作業を行っていたからです。

最後にピンク色の部分は、「19時間30分」のシフト業務の勤務時間において、私と氏家さんが分担して働いていました。

なお、アルバイトの勤務は朝食担当がおよそ「5時30分~10時30分」であり、フロント担当は「17時~22時」くらいとなっていました。合計10時間程度が基本的なアルバイトの勤務時間です。タイムカードからもつぎの結果で、アルバイトの勤務実態が合致しているのがわかります。

アルバイトの1日あたり平均労働時間

アルバイトの1日あたり平均労働時間

証拠・資料

■候補生 研修評価基準

決算送付書類一式