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政・官・財が表彰するスーパーホテル #7

行政や業界団体の認定・表彰は政府与党の便宜なしにあり得ない

我々は、スーパーホテルの調査からつぎの事実を知ることになりました。

1996年「スーパーホテル博多1号店」オープンから2年後、取締役会長山本梁介氏は奴隷制の豊富な資金力によって、政治家に接触します。1998年、衛藤征士郎議員の迂回献金に関与する「第6回福岡特別セミナー」から山本会長の献金が始まりました。

同年、フジ住宅株式会社で勤務する山本会長の長男で現副会長山本晃嘉氏が、現スーパー・コートに入社します。

これらの政治献金については、官報より発見しました。「関西二十一世紀政治経済研究所」は衛藤氏の中心的な政治団体です。

関西二十一世紀政治経済研究所への献金記録(官報より抜粋)

関西二十一世紀政治経済研究所への献金記録(官報より抜粋)

山本会長のスーパーホテルとフジ住宅は、副会長が勤務していた会社というものより親密な関係だったようです。山本会長が誘ったのか、1999年よりフジ住宅と揃って献金するようになります。

衛藤征士郎議員への政治献金10年目となる2007年、福田内閣が誕生しました。衛藤議員は「福田の側近」として、報道関係者より注目されるようになった頃です。衛藤議員が福田内閣に影響力を持ち始めたのと合わせて、スーパーホテルの「認定・表彰ラッシュ」が始まります。しかし、2015年、親密な関係にあったフジ住宅が「フジ住宅ヘイトハラスメント裁判」の開始後、両社の献金記録は発見できなくなりました。

この裁判は、東証1部上場の大手不動産会社「フジ住宅」が在日外国人を差別する文書を職場で配ったことで、職場で差別的言動が生じる温床を会社側が自ら作り出した」として、裁判所が文書配布の差し止めを命じたなどのものでした。

昭和60年報告が作った「現代奴隷制」の社会的信用力

我々が労基署にスーパーホテルの奴隷労働の実態を申告してから2年以上が経過しています。一度は、上野労基署の高橋英雄副署長より「事業者」だと判断されました。しかし、厚労省労働基準局監督課との会合の際、「判断保留」で調査中と聞いていると話が変わっています。

最大の問題は、上野労基署が「昭和60年報告」を我々が知らないと思い、「労働者でない証拠」を要求して誘導したことです。そして、長い間、故意に判断せずに「我々(労基署)には調査権がない」とか「双方の話を聞く」と言って動かぬ証拠でも、黙殺できるように労基署が動いているようでした。

要するに何らかの権力によって、我々を「事業者扱い」したいのです。

上野労基署だけでなく全国の労基署の対応は、このような状態です。結果、「法治国家」で内部規則が法律より優先され、厚労省が「日本国憲法で保障され働く個人の人権」を認可制とする状況となっています。

そもそも労働法の脱法が「ビジネスモデル」と言って憚らない、そんな会社がなぜ認定や表彰されるのでしょうか?

それを読み解くカギは、スーパーホテル全店の運営状況でわかります。我々の独自調査ではなく、スーパーホテルが主張する裁判証拠の乙52号証から見てみます。2020年3月24日現在のスーパーホテル全店の運営が一覧表となっていました。

スーパーホテル社員が運営するのはわずか6店舗(全体比4%)

それ以外は業務委託が運営する138店舗(全体比95%)

スーパーホテルの運営別比率(乙52号証より作成)

スーパーホテルの運営別比率(乙52号証より作成)

FC(フランチャイズ)店に派遣される業務委託の支配人・副支配人カップル、古株の法人化させられた業務委託のカップルもいます。

労基署が我々に言う「自由な裁量のある独立した事業者」ならば、「2016年日本サービス大賞(第1回)」の優秀賞(SPRING賞)をスーパーホテル社員が運営する「6店舗」で受賞したのでしょうか。「受賞ポイント」を見ると、我々を社員として扱って「嘘」までスーパーホテルはついていました。

“Lohas(地球環境と人の健康を意識した行動様式)” という新しい価値観を全面に打ち出し、エコと健康の両面で、宿泊客に「日常の感動」を与えている

ICTを徹底的に駆使してオペレーションを効率化し、その分お客様対応に集中できる“自律型感動人間”の育成で、高い顧客満足度を生んでいる

スーパーホテル社員が運営するのは、6店舗しかありません。明らかに全店舗のサービスが選考理由となっています。その証拠として「組織データ」には、従業員数が「1608名」で業務委託も含まれています。スーパーホテルのホームページには、従業員260名(当時)と本当の従業員数が記載されていました。

さらに「“自律型感動人間”の育成」とは、我々や氏家さんが雇用させられたアルバイトは、スーパーホテル社員の行動指針などを実践するよう命じられており、本当はスーパーホテルが雇用主だと示しています。

この賞は、総理大臣も臨席する権威あるものです。まさに「政・官・財」のうち、政治が社会的信用を与えたものです。我々は、それゆえに信用してスーパーホテルにだまされました。

ちなみに当時の総理大臣は安倍晋三氏です。「2017年の収支報告書」によれば、政治活動費の内訳に「スーパーホテル山口湯田温泉29,500円(8月2日分)」が計上されています。すでに紹介しましたが、スーパーホテルは「水増し領収書を発行する横領幇助」をサービスとして売ります。こうした横領幇助を摘発すべき政府要職の地位にある総理が見過ごしており、実際に宿泊したら日本の最高責任者が生命の危険にさらされます。引いては、日本の安全保障を揺るがす可能性がありました。

安倍氏の2017年収支報告書(自民党山口県第4選挙区支部より)

安倍氏の2017年収支報告書(自民党山口県第4選挙区支部より)

事実、2022年7月8日に安倍元首相は参議院選の応援演説中に銃撃されているのは、皮肉としか言いようがありません。

政府与党の自民党と公明党の収支報告書を軽く見ただけでも、衆・参の35名の与党国会議員がスーパーホテルを利用していました。スーパーホテル公式サイトからの予約であれば、横領幇助となる「水増し領収書」を自動的に受け取ることができます。

つぎに「政・官・財」のうち、官僚(行政)が与えた社会的信用について見てみます。それは、厚労省女性活躍推進法の「えるぼし」認定制度です。2016年に日本サービス大賞と合わせて認定されており、国の入札優遇や低利融資などの恩恵が受けられるものです。厚労省が「女性にやさしい企業」と認めたと公表できました。3つのランクがあり、スーパーホテルは最高ランクのえるぼし認定を受けています。この制度は、女性の「採用」と「継続就業」、「管理職比率」という3つの評価項目があります。

えるぼし企業の事例集に載るスーパーホテル

えるぼし企業の事例集に載るスーパーホテル(厚生労働省HPより)

しかし、日本が策定した「ビジネスと人権(行動計画2020-2025)」のサプライチェーンにおける人権侵害の救済が無視されるなど女性活躍推進法は有名無実な制度になっています。日本政府は、人権保護に取り組む気はありません。政府は人権外交を掲げていますが、外国人技能実習生の制度は国連の人種差別撤廃委員会より「虐待的かつ搾取的な慣行」と非難されており、アメリカ国務省からも「人身売買」だと正式に指摘されています。

自分と自分の家族の幸せを一番に考える普通の日本人の方は、吐き気を覚える人権侵害大国に住んでいることを忘れない方が良いと思います。自民党は戦後の90%以上の期間において、与党の座にありました。そして、与党自民党が作る政府に多く投票した人々の選択や意識こそが「25年不景気で人身売買や奴隷制」が当たり前の日本を作って来たことを思い出すべきです。

政府が悪いのではなく、自分が投票したから悪い社会となったのです。

そうした人権侵害大国の厚労省は、2016年から2022年まで毎年更新で6年目の認定をスーパーホテルに行っています。しかもスーパーホテルを「女性にやさしい企業」だと厚労省は認定して日本人の血税で優遇して来ました。すでに「ホテル業務委託契約書」の「妊娠解除」、川津さんや龍頭さんの話にあった「スーパーホテル社員が堕胎か解除か迫る」実態を考えると業務委託であれば、日本国憲法が保障する「女性の人権」がなくても良いのでしょうか。

このあとも2019年に経産省後援「サービス・ホスピタリティ・アワード」の優秀賞もあり、労基署の言う「自由な裁量がある独立した事業者」がこの賞に応募したスーパーホテルの理由と合致するとは思えません。

“Natural, Organic, Smart″という基本コンセプトの元、ITの活用による生産性向上と、高品質な接客による顧客満足度の向上を両立させるというテーマで応募いたしました。

サービス・ホスピタリティ・アワード応募理由(スーパーホテルHPより)

サービス・ホスピタリティ・アワード応募理由(スーパーホテルHPより)

基本コンセプトに合わせて、突然に名刺から制服などが変えられました。社員と一緒に全店共通マニュアルで学び契約名だけの「名ばかり個人事業主」にスーパーホテルが仕立て上げます。それを上野労基署の高橋英雄副署長は、サッパリと「事業者扱い」だと判断したのです。

最後に「政・官・財」のうち、財界(業界団体)が与えた社会的信用について見てみましょう。それは、2009年と2015年の「日本経営品質賞」でした。経営品質協議会の2015年の受賞理由を見てみましょう。

  • 「1円当たりの顧客満足日本一」にむけた理念、仕組み、体制の一体化
  • IT活用による模倣困難なローコストオペレーションとマネジメントノウハウ
  • 顧客満足を目指したチーム――「自律型感動人間」集団の拡大
  • 新たなホテルスタンダードを目指した「Lohas(ロハス)価値」の追求
スーパーホテル受賞理由(日本経営品質賞HPより)

スーパーホテル受賞理由(日本経営品質賞HPより)

上記の受賞理由を見て、スーパーホテル社員の6店舗に対して表彰したものだと言えるでしょうか。6店舗くらいのホテルチェーンは全国にあります。この賞を受賞することで評判となり、売上も伸びて新規出店が雇用につながるはずです。よっぽどその方が日本の経営品質向上に寄与すると思います。さらに報道向けの資料には、スーパーホテル社員の6店舗ではなく「ホテルチェーン全体の組織能力」を評価したと全店が表彰の対象でした。

報道関係宛の日本経緯英品質賞委員会プレスリリース

報道関係宛の日本経緯英品質賞委員会プレスリリース(抜粋)

スーパーホテルは「1,515名(平成27年3月末日)※業務委託・パート・アルバイト含む」と計上していました。この当時のスーパーホテルのホームページを見ると従業員は260名なので、ほとんどが業務委託とその雇用されたアルバイトであることがわかります。表彰に応募するときには、業務委託が従業員に変化する「体制の一体化」をします。しかも「代表者」は、スーパーホテルの会社登記の取締役に名前のない「山本梁介」氏が記載されていたのです。

しかし、スーパーホテル社員の人件費が3800万円となるため、だまして業務委託を1100万円で働かせるローコストオペレーション。働かないと高額賠償で脅迫するマネジメントノウハウなどが表彰理由になっています。

顧客の視点に立てば、高額賠償で脅迫されて我が身を削って必死に接客する多くの業務委託の支配人・副支配人に感銘を受けるのは、当然のことであり、これ以上の皮肉な受賞理由はありません。

ホテル業界でリッツカールトンしか受賞していない「権威ある賞」を、本当にスーパーホテルが受賞して良いのでしょうか。皆さん不安になりませんか?

証拠・資料

労働基準法の「労働者」の判断基準について

2017年収支報告書(自民党山口県第4選挙区支部)