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セクハラ研修への派遣 #1

2018年6月21日~7月17日まで、スーパーホテルの社員が運営する「研修センター」で実務研修を受けて来ました。そして、「重要な時系列A」の通り、我々は「研修委託店舗」に派遣されます。

「重要な時系列A」6月生候補生オペレーションチェックシートB(当初計画)

「重要な時系列A」6月生候補生オペレーションチェックシートB(当初計画)

この研修は「7月18日~8月6日」の20日間で行われます。つぎのような「3つの段階的研修」があります。

3つの段階的研修

  1. 昼・夜パートの業務の「順番と制限時間」を覚える(5日間)
  2. 各自の担当する「パートの業務」に習熟する(7日間)
  3. 研修生だけの「独自運営」で支配人・副支配人より合格をもらう(4日間)

「昼・夜パート」とは、研修センターで学んだすべての業務を「支配人・副支配人だけの分担シフト」にしたものです。それゆえ「重要な時系列A」には「支配人・副支配人の時間帯」と記載があります。

「支配人・副支配人の時間帯」、「6月生候補生オペレーションチェックシートB(当初計画)」より

「支配人・副支配人の時間帯」、「6月生候補生オペレーションチェックシートB(当初計画)」より

「昼パート」は5時30分~17時まで「夜パート」は13時~25時までを言います。およそ各自が12時間勤務するようになっています。スーパーホテルでは、「男性は支配人」となり「女性は副支配人」となる決まりです。昼・夜パートは男女ペアが選択できますが、「支配人は夜パート」で「副支配人は昼パート」を担当するのが圧倒的多数となっています。

研修生は、12日間で自分の担当パートを実践できなければなりません。そして、研修委託店舗を研修生2人に任せる「独自運営」の4日間によって、支配人が合否を判断します。

「独自運営期間」、「6月生候補生オペレーションチェックシートB(当初計画)」より

「独自運営期間」、「6月生候補生オペレーションチェックシートB(当初計画)」より

こうした評価は全部で4つあったと思います。すべてをクリアしないと研修合格とはならないことは、はっきりしています。まず、研修センターの支配人は「すべての業務の習得や姿勢(フェイスへの忠誠度)」を評価しました。そして、人材開発部は「筆記テスト」で評価します。

さらに経営品質部が「接客態度」や「内観」によって、忠誠度や精神状態を評価しました。最後に研修委託店舗において、安井支配人が研修センターで教わった「すべての業務」を我々2人で「分担シフト」として働けるのかを評価します。

研修委託店舗の指導者である支配人・副支配人には、「失格」という名の解雇権がありました。たとえば、「研修ルール」の遅刻をした場合、「失格」にすることができました。すなわち、「我々の将来展望」は安井支配人・副支配人が握っていたのです。

この圧倒的な権限を有する安井支配人は、私の体を触ったり抱き着いたりする「セクハラ行為」を行いました。

スーパーホテル社員が働く業務委託店

研修委託店舗の「スーパーホテルJR新大阪東口」は、JR新大阪駅から徒歩5分にあります。客室数は105室、天然温泉の大浴場があり、無料朝食があります。研修センターで研修できなかった朝食業務ができました。

この店舗は、業務委託の安井夫妻により運営されていました。彼らは、このホテルに住み込みで働いています。従業員の構成は、安井支配人、そして、奥様の副支配人は理解しづらい関西弁をしゃべる台湾の方でした。また、スーパーホテル社員の鄭さん、業務委託の支配人らに雇用されたアルバイト5人がおり、そのうち2人は新人でした。

2018年7月18日15時少し前、我々がホテルに着くと人材開発部の高森次長と近藤次長がロビーにいました。

7月18日14時53分、研修店舗「JR新大阪駅東口」にチェックイン

7月18日14時53分、研修店舗「JR新大阪駅東口」にチェックイン

我々は、チェックインを済ませて高森次長の所に行きます。挨拶が終わると、安井支配人は不機嫌そうな顔でどこかに歩いて行きました。それと反対に安井副支配人は、近藤次長とロビー奥の席に座って、打合せを再開しました。彼女の深刻そうな表情、背中を丸めて涙をながす姿から“相談なのだ”とすぐわかりました。

我々が副支配人を見ているのに気がついたのか、高森次長はロビー奥の反対側に我々を座らせて、しゃべり出しました。

この店舗は業務委託店なのですが、スーパーホテル社員の鄭(テイ)さんが勤務しています。彼女は、流産で精神的に不安定です。そっとしておくため、社外の委託店で働かせています。あまり話しかけたりせず、そっとしておいて下さい。

と高森次長は説明しました。私は、社員が体調を崩すと業務委託店へ「働きに出す」という懲罰が行われるひどい会社だと、スーパーホテルのことを素直に思いました。

あとになって、2018年8月1日現在の「スーパーホテル組織図」を見ると、鄭(テイ)さんは「スーパーホテルなんば・日本橋」に在籍していることがわかりました。私の研修レポートには「テイ(鄭)さんに助けてもらいました。」という記述があり、スーパーホテル社員が勤務していたことがわかると思います。

徐さん(仮名)の記述がある研修レポート(2018年7月25日付)

テイ(鄭)さんの記述がある研修レポート(2018年7月25日付)

7月19日、研修の「3つの段階的研修」の「A」の段階がはじまりました。

勤務は13時~25時の10時間労働で、2時間の休憩があります。3日間は「夜パート担当の安井支配人」が指導者でした。おもな勤務場所のフロントは、朝食の調理室と事務室が通路でつながっています。通路は、横向きでないと人がすれ違うことができない幅でした。また、事務室には1人用のデスクしかスペースがありません。全従業員が行うフェイスアップは、通路で横並びに行われていました。

つまり、極端に至近距離で研修が行われたのです。安井支配人に、我々2人は密着したような状態でした。初日から安井支配人は「よくできた」と言って、我々2人を両脇に別々に抱え込むようなフリをして抱きつき、顔や肩回りを触ってきました。

安井支配人は、チェックシートの研修課題を説明せず、「折々わかるから、いまは見ていて」と言って、まともに質問には答えてくれませんでした。支配人はひたすら話かけ、冗談をまじえて私の体に触ってきました。

7月20日、鄭さんがシフト勤務しており、はじめて挨拶しました。安井支配人は、鄭さんが出勤すると“険しい表情”で、事務室にこもりました。我々と鄭さんは、フロントに3人並んでチェックイン業務や立ち話をしていました。鄭さんは、中国吉林省の方で日本語が堪能な社員でした。

とても話が面白く、我々3人はすぐ打ち解けました。

スーパーホテルの研修では、研修生の履歴書と職務経歴書が、新入社員にさえ回覧されて知っています。なので、打ち解けやすくなっており、色々な話ができました。

たとえば、つい最近に労基署が入ったおかげで「カードリーダー式出勤簿」や「法定労働」になった話などです。スーパーホテルでは、女性社員がそのまま24時間勤務することが普通だったそうです。また、出勤簿をわざと紙にして、書き換えが行われていました。なお、この話は研修センターや本社研修で聞いたものです。

スペイン留学は女子大生を“熟れた”女に変える

鄭さんは、高森次長が言った“精神不安定”な状態ではなく、むしろ彼女は毅然とした態度で安井支配人を監視しているようでした。鄭さんが退勤すると、私はすぐ氏家さんにつぎのことを言いました。

支配人が私にやたら触ってくるのよ、支配人との間にあなたが盾のように立ってよ。変態だよ、普通、触って来ないよ

7月21日は、夕方からアルバイト2人が出勤してきました。(仮名)都築さんは、建築学専攻の女学生、(仮名)田中さんは府内の短大に通う女学生です。安井支配人は、やたらアルバイト2人に話しかけますが、彼女らは距離をおいて無口でした。

私は、彼女たちも同じ被害に遭っていると思いました。

都築さんは、1年以上勤務しており、元々はスーパーホテルの社員が運営する「研修センター」だったと教えてくれました。アルバイトも8人以上が在籍する楽しい職場だったそうです。しかし、研修委託店舗となり、雇用主は「スーパーホテルから業務委託」の安井夫婦へと引き継がれました。

彼女たちの話によると、夫婦がいばりちらし、みなすぐに辞めたそうです。それで、朝食1名、フロントの彼女たち2名だけが残ったそうです。

このあと、安井支配人は都築さんの紹介をしました。都築さんの制服姿を下から上へと何度も舐めるように見て、安井支配人のつぎの言葉にその場にいた我々4人は絶句しました。

渡邉さん、都築さんは来年1年間、スペイン留学するんだよ。日本の女性は、スペインの現地の男にもてるからさあ、きっと“熟れて”帰ってくるよ

この「熟れて」という言葉は、衝撃的でした。

副支配人は救急車で運ばれていた

休日をはさみ7月23日、「昼パートの安井副支配人」が指導者となりました。5時30分からの朝食業務で指導がはじまります。

特に印象的だったのは、副支配人の関西弁まじりの日本語がほとんど理解できなかったことです。我々は気を遣い、副支配人がしゃべるたびに「はい」と答えて理解したふりをしました。彼女は、とても神経質になっていました。

朝礼で指示してたら、いきなり目の前が暗くなって倒れたんや。気がつくと救急車なかにおって、病院に運ばれたんや

副支配人は、突然我々に向かって、このような話を言い出しました。結局、これが私の一番記憶に残ったできごとでした。

歌舞伎町のジャンヌダルクに助けを求めた

翌24日となると、副支配人は「昼パートと夜パートの担当を2人で決めて」と言いました。ですが、私が「夜パート」の担当だと安井支配人が待ち構えています。支配人と一対一は無理です。選択の余地なく「昼パート」となりました。

25日となり、私は安井支配人が気持ち悪く限界でした。

「昼パート」であっても、安井支配人とは「13時~17時」まで勤務が重なります。それだけでなく、朝はフロント付近を寝巻き姿でウロウロしていることもありました。氏家さんは見かねて、副支配人に「今日はオープンからクローズまで、僕が働いて決めます」と言って、パートを選択するフリをして、私と一緒に働いてくれました。あと氏家さんによると、夜パートの勤務は研修にならなかったそうです。

安井支配人がアルバイト代わりの労働力として、氏家さんにチェックインだけやらせていたそうです。シフト表を見ると、“空欄か新人アルバイト”ばかりで、我々の教育まで手が回らないとわかりました。

25日22時ごろのことです。私は、三輪室長の言葉を思い出して連絡しました。しかし、三輪室長は留守でした。この日の深夜1時ごろ、日付が変わり26日です。三輪室長より折り返しの連絡があり、私は吐き出すようにしゃべり出しました。支配人のセクハラの件、副支配人の日本語力、人手不足で教育できないなどを告げました。特に毎日13時~17時までの4時間は、支配人と私の勤務が重なります。もう限界だと、三輪室長に言いました。

ラインの通話記録

ラインの通話記録

すると、三輪室長から「高森次長に対応してもらう、研修の責任者だから彼の指示に従いなさい。26日は病気だと言って、午前中に抜け出しなさい」と言われました。我々は、三輪室長の言う通りにホテルを抜け出しました。正直、研修どころではない状況となっていました。

証拠・資料

新大阪店で書いた研修レポート