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業務命令は父の死よりも優先 #4

2018年8月9日夜18時頃でした。

私は、連日の研修の疲労とセクハラ被害などのストレスからぐっすりと寝ていました。そこに突然、私の携帯が鳴ります。妹からの電話でした。

寝ぼけた状態で妹の話を聞かず、私は「うんうん、なに」と返事をしていました。妹は「お父さんの心臓が止まっちゃった、だから、止まったんだって!」と大きな声で言ったのです。

あまりのショックに、私は瞬間で目を覚ましました。

私は、氏家さんに急死の知らせを伝えるとすぐ着替えて、泣きながら駅に向かいました。父の亡骸がある病院に向かうためです。しかし、私は、放心状態のまま病院から研修委託店(スーパーホテル上野・御徒町)に戻ります。

それは「禁止事項」の「外泊禁止」があるためです。

我々は、すでに合格して配属ホテルまで決まっていました。「今後の予定A」の研修計画の通り「9月19日まで研修をこなす」ことがスーパーホテルより与えられた業務命令です。この仕事を投げ出すことはできません。何より死んだ父は、会社設立から応援してくれた一人でした。

「今後の予定A」氏家さん・渡邉ペア スケジュール(変更計画)

「今後の予定A」氏家さん・渡邉ペア  スケジュール(変更計画)

父の遺志に報いるためにも、私は研修委託店に戻らなければなりませんでした。なぜなら「4年で3,000万円たまる仕事」を獲得して、会社を再建するチャンスをつかんでほしいと、きっと父は私に言うはずです。

氏家さんは、私がホテルを出るのと同時に高森次長へ「悲報」を携帯で知らせました。氏家さんと高森次長は、つぎのような会話となったそうです。

氏家さん渡邉さんの父が先ほど亡くなりました。近いうちに葬式があります。

高森次長え?   研修やめますか?  研修やめますか?  研修やめますか?

氏家さんえ?

高森次長だから、研修をやめますか?  研修をやめるんですか?

氏家さんいや、一応、ご報告までに連絡したのですが。

高森次長あっそうですか、研修やめないですよね?

氏家さんはい、続けます。それは渡邉さんの意志も変わりません。

高森次長では、研修を続けて下さい。

氏家さんあのう、休ませてもらうのは無理ですよね?

高森次長これ以上のスケジュール変更は無理です。だから研修やめますかと何度も確認したんです。スケジュールの通りに従ってもらわないと。

氏家さんせめて、葬式だけは出させてもらえませんか?

高森次長休みと交換なら1日くらいは平気ですよ。輔野支配人に許可をもらって下さい。

氏家さんありがとうございます。

高森次長花輪(供花)を出しますので、送り先をショートメールして下さい。

氏家さんはい、渡邉さんに聞いて、メールしますから、それでは失礼します。

高森次長研修頑張って下さい。

氏家さんは、スーパーホテルに「従うか、従わない」の二者択一しかこの研修にないと思ったそうです。仮に従わなければ、“住まい”と“生活収入源”を同時に失う状態にありました。あとになって、スーパーホテルの「ふたりごと」というブログには、8月9日は「最後の本社研修」だと紹介されています。ブログの写真中央の男女が“我々”です。しかし、この日は、父が急死した日で、我々はスーパーホテル上野・御徒町での研修期間の“休日”だったのです。スーパーホテルの「嘘」のブログに怒りを覚えました。

2018年8月9日付のSuper Dream Project Blogに登場する我々の姿(写真中央)

2018年8月9日付のSuper Dream Project Blogに登場する我々の姿(写真中央)

そのつぎに「B段階の研修」に入って、私は「昼パート」の担当を選択しました。黒柳副支配人が私の指導者です。氏家さんもそうでしたが、正確な仕事だけでなく速さを身につけるよう指導されます。それは、8月12日の私の「研修レポート」でわかります。黒柳副支配人は、「経理に時間がかかっているように思いました。明日は一緒に進めていきたいと思います」とのコメントがありました。

8月12日の研修レポート

8月12日の研修レポート

特に8月10日以降は「支配人・副支配人の時間帯」となり、昼・夜パートを我々が分担して働きました。支配人・副支配人のおかげで、我々は着々と担当パートを習得して行きます。しかも正確さだけでなく、速さも兼ね備えた仕事が我々はできるようになって行きました。

8月15日からは「独自運営」に入ります。氏家さんの研修レポートには「自主運営」という言い回しの言葉で書かれています。

氏家さんの8月15日の研修レポート

氏家さんの8月15日の研修レポート

8月16日は、私の「父の葬式」に参列するために27日と休日交換しました。翌日は休日ですが、食品衛生責任者資格講習に参加して資格を取得します。これらのことは、私が高森次長へ送ったメールで「供花」と「今後の予定Aの通り」だと読み取れると思います。

8月18日から20日までの3日間は、完全に我々だけの運営でした。

指導者の2人はマラソンや食事に出かけたりして、我々と彼らの雇ったアルバイトが一緒に働いて「独自運営」していました。研修委託店での研修最終日(8月20日)の時点で、「名実ともにホテル運営できる」と認められた状態に到達しました。

証拠・資料

2018年8月9日付のSuper Dream Project Blog「ふたりごと」