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第1回本社研修 #2

2018年6月21日、「重要な時系列B」の通り、つぎの4つの講義がありました。

「重要な時系列B」 2018年6月生本社研修スケジュール(当初計画)

「重要な時系列B」 2018年6月生本社研修スケジュール(当初計画)

SH概要 LOHAS

講師は、「研修導入」に引き続き柴田さんでした。

まず、講義名にある「SH」から説明がありました。「SH」とは、「SUPER HOTEL」の英語の頭文字「SとH」を合わせたものだそうです。社員などの「関係者が使う通称」なので覚えて下さいと言われました。

柴田さんは、配布した資料をもとに話していました。これからは配布資料を中心に、研修内容を紹介して行きたいと思います。

当時の経営組織は、グループ会長が山本梁介、代表取締役社長山村孝雄、取締役副社長山本晃嘉となっていました。

スーパーホテルグループ図、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

スーパーホテルグループ図、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

「政・官・財」より表彰される社会的評価の高い会社です。

「スーパーホテルの沿革」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

「スーパーホテルの沿革」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

ホテル業界唯一の「エコファースト」に認定されています。そして、「日本経営品質賞」については、説明会の資料で配布されていました。そこには、「国際的競争力ある経営構造へ質的転換を果たした」企業を表彰する制度とのことでした。

エコファースト制度など、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

エコファースト制度など、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

リッツカールトンの「クレド」をまねた「創業の精神(Faith)」があり、創業者の山本会長によると、フェイスは「聴くこと」で「考えること」によって、「実行する」ことを促す効果があるとのことでした。柴田さんの説明によると、フェイスは三つ折りの青色の両面印刷されたものです。9月には一部が改定され、フェイスは四つ折りとなるとのことでした。

創業の精神(Faith)(6月版のフェイス)、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

創業の精神(Faith)(6月版のフェイス)、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

また、顧客満足度の高さが重要であると力説していました。JDパワーの9000円未満部門では「4年連続1位」だそうです。

「JDパワー」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

「JDパワー」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

しかし、JCSI(日本版顧客満足度指数)においては、2014年以来「2位以下」となっているので頑張りたいと柴田さんは言っていました。

「JCIS(日本版顧客満足度指数)」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

「JCIS(日本版顧客満足度指数)」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

柴田さんは、スーパーホテルの構成について、説明をはじめました。それは「事業の構造」のことです。スーパーホテルの運営は、“建物一括賃貸”と“フランチャイズ”の2つの方式があるとのことでした。

前者の場合は、運営主体のスーパーホテルが長期契約(20年~30年)して、毎月一定額の家賃をオーナーに支払うもの。また、後者の場合はオーナーが運営主体となり、スーパーホテルへ毎月ロイヤリティを支払うものとなっています。

「スーパーホテルの構成」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

「スーパーホテルの構成」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

全国129店舗が展開されていますが、スーパーホテルから業務委託の「ベンチャー支配人(我々のような)」が運営主体に関係なく「業務委託店舗」と「FC(フランチャイズ)店舗」に2つの運営形態に派遣されています。

「ベンチャー支配人」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

「ベンチャー支配人」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

下の資料は、我々の理解が及ばないものでした。

「直営(業務委託)」と「直営(社員)」という2つの「直営」という文字があります。一般的に、スーパーホテルの社員が直接に運営する店舗を簡略化して「直営店」と呼ぶはずです。しかし、スーパーホテルの直営店とは「ベンチャー支配人」が運営するものが含まれています。

「ベンチャー支配人」という外部組織に業務を委託する店舗を簡略化すれば、「外部委託店」となりアウトソーシングしたことを示します。本来は「直営」ではなく「外部委託」と書くべきです。しかも「ベンチャー支配人」は、異動により「直営(業務委託)」と「フランチャイズ」の両方に派遣されるそうでした。

「スーパーホテル運営形態の違い」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

「スーパーホテル運営形態の違い」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

つまり、スーパーホテルの説明から整理すると、我々の業務委託契約は「社員店舗」で働く社員と同じだと言うことでした。FC(フランチャイズ)はロイヤリティを支払い経営ノウハウを利用していますが、我々は業務委託契約しただけで「業務委託店舗」や「FC店舗」もっと言うと「元社員店舗」においても無償でスーパーホテル社員と同じ業務と運営ができるのです。

働いただけで「スーパーホテルの経営ノウハウや設備がなぜ無償で使えるのか?」が柴田さんの説明では、本当にチンプンカンプンでした。

最後に「サービスの違い」を説明していました。若干違いがあるとのことでした。

「その他サービスの違い」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

「その他サービスの違い」、6月21日本社研修「SH概要」配布資料より

LOHAS

講師は、スーパーホテル人材開発部研修室の茶谷係長でした。「Lohas」の意味についての質問から講義がはじまりました。「Lohas」とは、“Lifestyles Of Health And Sustainability(人間の健康と環境の保護を最優先に持続可能な社会)”のことです。スーパーホテルで過去に行ってきたサービスを再定義しなおして、キーワードごとに紹介していました。

講義資料は、「社外秘」となっていますが、配布資料には「参考 Lohasレポート2017参照」と記載があり、じつは一般公開されているものでした。支離滅裂な教材だったことで記憶に残りました。なお、サービスの説明は物語より外れるので省略します。

「Lohas レポート2017」、株式会社スーパーホテルHPより※現在は削除されています。

「Lohas レポート2017」、株式会社スーパーホテルHPより※現在は削除されています。

経営品質部【サービススタンダード】

講師は、スーパーホテル経営品質本部CS推進部の星山部長でした。彼女は、フェイスを手に取り、高く掲げて会議室を歩きながら、こう我々に言いました。

大切なことはこのなかに書かれています。これを実践して下さい。

星山部長は「サービススタンダード」について、科学的根拠にもとづくものだと言っていました。外部調査機関がスーパーホテルを調査した統計データ(総合CSI)によって、それを説明して実行するように命じました。

サービススタンダード1に関する統計、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード1に関する統計、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード 

1. 明るい笑顔と元気なご挨拶でお客様をお迎えします。

これが“歓迎感のあるお出迎え”だと星山部長は、我々に実践するよう命じました。それは「カウンターから出て、お客様の名前を呼ぶ」などのことです。ホテルに泊まった経験はありますが、他のホテルで経験したことのない接客でした。

サービススタンダード1、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード1、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード

2. お客様のお名前をお呼びします。

接客中、最低3回は「お名前を呼ぶ」ことで「特別感」が出るから呼ぶように指示されました。

サービススタンダード2、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード2、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード

3. プラスαの一言でお声がけします。

4. お客様お一人おひとりのニーズを先読みします。

星山部長は、状況写真から「声かけ」と「ニーズの先読み」するよう命じました。

サービススタンダード3、4と状況写真の問題、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード3、4と状況写真の問題、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード

5. 一歩前に歩み寄った接客で心のこもったおもてなしをします。

これはエレベーターまでの見送りをすることで、「一歩前に歩み寄った接客」になると「共感や親しみやすさ」の効果があるそうです。これを実践するよう星山部長は指示しました。

サービススタンダード5と統計資料、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード5と統計資料、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード

6. 朝は明るい笑顔と大きな声で「おはようございます」と元気なご挨拶をします。

星山部長は、笑顔と大きな声で「お見送り」すると「再宿泊意向が増える」などの効果があるので実践するよう指示しました。

サービススタンダード6と統計資料、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

サービススタンダード6と統計資料、6月21日本社研修「サービススタンダード」配布資料より

接客導入

続けて、星山部長が講師です。彼女は「接客導入ワークブック」を配り、スーパーホテルのさまざまなやり方について説明を行い、それらの実践を要求しました。

「接客導入ワークブック」の表紙、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

「接客導入ワークブック」の表紙、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

このワークブックの「接客の大切さ」の設問について、「接客とは何か?」を我々に考えさせました。我々の考えがまとまったころ、彼女はつぎのように「接客の定義」を説明します。

接客の定義

  1. お客様を喜ばせるもの
  2. ファンづくりするもの
  3. 会社のイメージメーカー
「接客の大切さ」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

「接客の大切さ」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

そのつぎに“スーパーホテルの理想の接客”とは、お客様に「満足ではなく、感動して頂くもの」だと説明しました。では、どのような接客が「感動させるのか?」、そのことを“お客様になった気持ち”で、考えるように言われました。

「理想の接客」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

「理想の接客」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

そして、どのようなお客様にスーパーホテルは「感動して頂きたいか?」を、グラフから我々に考えさせました。

「グラフ」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

「グラフ」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

我々はいろいろな意見を出したあと、星山部長はイメージの「やや満足」と「満足」のお客様がファンになりやすいと説明しました。

「グラフの答え」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

「グラフの答え」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

スーパーホテルのファンを増やすメリットを、彼女はつぎのように説明しました。

  1. リピーターが増加する
  2. クチコミがよくなる
  3. 宿泊単価が上昇する
「ファン」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

「ファン」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

星山部長が冒頭で話したスーパーホテルの“接客の定義”について最後に入っていました。すなわち、“会社のイメージメーカー”の話です。フェイスの「行動基準12. 品位」には、つぎのように書かれています。

スーパーホテルのイメージを作り出すのも私達の役目です。スーパーホテルの一員であることを誇りに持って、お客様や働く仲間を尊敬し、品位を持って接します。

Faith行動基準 12.品位より

「Faith行動基準12.品位」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

「Faith行動基準12.品位」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

フェイスの「行動基準 12.品位」とは、スーパーホテルでは“マナー”をさすと星山部長は言っていました。そして、相手を思いやる「心」を「形」にすることだそうです。この“心”とは、お客様に何かして差し上げられるかを考える“人間力や気持ち”のことです。また、“形”とは、心を表現する接客の「知識や技術」をさします。

接客は、ベテランだと土台の“心”が慣れやモチベーション不足で小さくなり、逆三角形になりやすくなるそうです。これに対して初心者は、基本の“形”が経験不足で三角形となります。

そこで土台の“心”は、今のまま維持して、基本の形を増やすノウハウを“経営品質部”が支援すると、星山部長は言いました。私は、精神や業務遂行の方法まで細かくスーパーホテルのやり方を要求されていることに気づきました。

「マナー」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

「マナー」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

つまり、「フェイス12.品位」によると独立した自由な業務方法を自分で考えることはできず、業務委託契約の研修と言いながら「社員教育」を堂々と掲げていました。

講義の最後は、スーパーホテル東西線・市川妙典の接客が紹介されます。スーパーホテルでは、「ウェルカムカードの部屋入れ」という業務があります。我々も研修店舗で、毎日書いていました。お客様に宿泊の感謝を込めたメッセージカードのことです。スーパーホテル東西線・市川妙典では、この「ウェルカムカード」と一緒に「クッキー」を部屋においていたようです。

“余命一年の奥様”とお泊りになったご主人が感激され、CS(アンケート)と呼ばれるハガキに書いたメッセージが紹介されました。

「紹介」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

「紹介」、6月21日本社研修「接客導入」配布資料より

星山部長は、感動的なCSを読み上げました。その余韻を残したまま、つぎのように我々に語りかけます。

みなさんが、これから実践するのは、“科学的根拠”や“会長の人生経験”に基づくものです。だから、安心して仕事してもらえます。フェイスを実践してください、我々が助けますから。

このときの心境について、毎日提出が義務だった「研修レポート」には、私は「すばらしかった。話し方や笑顔を見習いたい」と書きました。

しかし、本当は疑問でいっぱいでした。

氏家さんは社長として、少し前まで事業を軌道に乗せようとする「事業者」でした。私は、その事業を手伝っていました。しかし、給料をもらい教育されて、毎日スーパーホテルの指示通りに“手書きのカード”を書いて、クッキーと一緒に客室に置かされる「社員業務」を「事業者」なのだと、7時間も説明されたのです。

6月21日の研修レポート

6月21日の研修レポート

さらに軟禁状態のような50日間もの研修が続き、すべて覚えて忠実に業務をこなせるようになると「4年で3,000万円ためられる仕事」に就けると、我々は言われたのです。

私は、言葉にならない「不思議な心境」を氏家さんに語りました。氏家さんは「信じるしかない、もう船に乗ってしまったんだから」と、残念そうな表情のままポツリと言いました。

証拠・資料