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19時間30分間のシフト業務 #5

「重要な時系列A」の通り、2018年6月23日に実務研修がはじまりました。

「重要な時系列A」6月生候補生オペレーションチェックシートB(当初計画)

「重要な時系列A」6月生候補生オペレーションチェックシートB(当初計画)

研修センターとカリキュラム

2018年6月20日、我々がチェックインした「研修センター」は、社員が運営する店舗の「スーパーホテルLohas地下鉄四つ橋線・本町24号口」です。3階の302と303号室に滞在していました。

部屋番号と暗証番号が書かれたレシート、6月20日研修センター(本町)

部屋番号と暗証番号が書かれたレシート、6月20日研修センター(本町)

非常階段を下りれば、社員がいる2階の事務室へすぐ着きます。また、本社にも徒歩3分の距離にありました。

6月20日、配布された「2018年7月度勤務表」によると研修センターは男性の南口支配人、女性の戸田副支配人、そして、9名の社員、3名のアルバイトで運営されていました。最下段には、我々のシフト勤務が記載されています。

2018年7月度勤務表

6月20日に配布された「2018年7月度勤務表」

なお、勤務表に「スーパーホテルなんば・日本橋」と記載があったのは、「スーパーホテルLohas地下鉄四つ橋線・本町24号口」が研修センターとなって日が浅く、スーパーホテルなんば・日本橋で勤務表を作成していたからだそうです。また、南口支配人は9時~18時の平日勤務なのでシフト勤務に入っていません。

つぎに我々のカリキュラムについて、詳しく説明します。

「重要な時系列A」の見方については、「研修導入と研修ルール」のとおりです。研修センターの期間は、「基礎研修」の期間であり、27日間で完了する計画となっていました。

この期間の研修には、「本社研修5日」「休日3日」の計8日間が含まれており、実務研修は19日間となっていました。ただし、我々は2日病欠しており、実質は「17日間」です。

「重要な時系列A」をもとに、我々は出勤状況を下の表にまとめました。

我々のシフト勤務(朝食業務なし)

我々のシフト勤務(朝食業務なし)

ただし、研修生の6ペアのうち、我々を含めた2ペアは飲食店併設の研修センターなので、朝食業務の研修ができませんでした。

朝食業務が含まれた通常の出勤状況は、下の表のとおりです。なお、表記上の都合で5時となっていますが、シフトは5時30分が正確な開始時間です。

通常のシフト勤務(朝食業務あり)

通常のシフト勤務(朝食業務あり)

つまり、「5時30分から25時まで」の時間帯について、シフト勤務がつくられており、これに基づいて研修していました。

研修導入と研修ルール」で説明した「重要な時系列A」の表記形式には、4欄目に「当日の研修課題と実施時間」の記載があり、5欄目に「数日間連続する研修課題」などが記載されていました。そして、5欄目の研修課題は、7月25日~8月5日(DAY35~46)の期間に「業務チェック表全ての項目」として、まとめられて総称されます。

「重要な時系列A」の5欄目にある「数日間連続する研修課題」、「業務チェック表全ての項目」(抜粋)

「重要な時系列A」の5欄目にある「数日間連続する研修課題」、「業務チェック表全ての項目」(抜粋)

特に4欄目にある毎日の「研修課題」は、業務の「関連性が高いもの」と「実施の時間帯」ごとにまとめられていました。大別すると「管理系」と「営業系」の業務となります。

「管理系」とは、会計システムを使って、売上や経費などを毎日記帳すること。この情報を毎日「12時厳守」でスーパーホテルにデータ送信して、前日営業の「本締め」すること。また、店舗内(精算機・大金庫・小口金庫・手金庫)のつり銭の「現金」は、スーパーホテル指定の金種枚数で毎日整えること。

そして、精算機のつり銭をセットする際は、千円札の束はすべて同じ方向にそろえたものを裏面にして「裏面の富士山から差し込む」ように指示されます。これらのために銀行の営業日は、毎日「14時30分まで」に両替や入金、引き出しを行うことなど関連業務を実行するよう指示されました。

なお、入出金する際、銀行通帳を使い窓口で手続きすれば、用紙に「株式会社スーパーホテル代表取締役山村孝雄」と口座名義をすべて書き込むように銀行に要求されます。ちなみに配属店においても、スーパーホテルの銀行通帳を使うよう命じられました。

「我々のシフト勤務(朝食業務なし)」の表によると「経理」や「銀行売上入金」など管理系の研修がかたまるのは、7月1日~5日の「8:00~20:00シフト」でした。また、5欄目にも、7月1日から「経理」を行うよう5日まで矢印が引かれています。

「営業系」とは、ホテルシステムを使って作業するもので、フロントオペレーションマニュアル(以下、マニュアルと略す)に載っているもののことです。そして、「営業系」の実施すべき時間帯は、フロント営業時間の「15時~24時」に集中しています。

「我々のシフト勤務(朝食業務なし)」の表によると6月25日の研修課題は下の表となっており、「13:00~24:00シフト勤務」の研修内容でした。

研修課題とマニュアル対照表

研修課題とマニュアル対照表

なお、前日24日病欠で25日に清掃チェックも追加されていました。また、5欄目にも、6月25日から「清掃チェック」は27日まで矢印が引かれています。

冒頭部分の「2018年7月勤務表」において、社員は「夜間勤務」することになっています。社員は夜間警備員と共に監視に当たります。しかし、この「勤務表」と「重要な時系列A」の両方を見ても、我々研修生が一度でも「25時以降」に研修するシフトはありません。

加えて、「禁止事項」の「外泊禁止」なので、原則的に25時以降は「夜間はホテルで寝ろ」と命令されています。

つまり、我々の研修とは「5時30分~25時まで」の19時間30分間の業務を覚えて実行させるものでした。

研修ルールは厳守

6月23日の実務研修の初日のことです。

朝から2人とも嘔吐や高熱で動けなくなってしまいました。「禁止事項」には「遅刻」や「連続3日以上休む」ことが入っています。出勤10分前にようやくフラフラになりながらも、非常階段を下りて2階の事務室にたどり着きました。

研修は、戸田副支配人の「館内ツアー」です。彼女について館内を30分くらい見学するのが、精いっぱいでした。我々は、彼女に体調不良を伝えて「休み」をもらいました。結局、病院で「食中毒」と判明します。

我々は「失格ぎりぎり」となる2日間も休んでしまいました。

6月26日、支配人面談がありました。そこで南口支配人と我々は、つぎのような会話をしたのを覚えています。

南口支配人連続3日間休むと、失格なのはご存じだと思います。

氏家はい、知っています。

南口支配人研修センターでは、私に判断する権限があります。知っていましたか?

いえ、知りません。まだ、3日目なんで、すいません。

南口支配人これ以上休むと、連続3日でなくとも失格にしますよ。

氏家以後、ないようにします

南口支配人とにかく、研修を頑張りすぎて、お客様からクレームが来て、私が謝らないと行けないほどの積極性を見せて下さい。

我々はい、頑張ります。

南口支配人すでに他のペアより2日も研修が遅れています。休みを減らす覚悟で研修してください。私からは以上です。

我々頑張ります。

このとき、南口支配人が「基礎研修」の合否判断をする人だと、我々ははじめて知りました。たしかに研修2日分のノルマを取り返す必要があります。しかし、この心配はすぐ解消されました。冒頭で紹介したように、戸田副支配人以下は交代シフトで働いています。

つまり、実質的に指導するのは彼女たちであり、戸田副支配人以下の社員は非常に優秀でした。彼女たちは休日を減らすことなく、研修メニューを調整して「基礎研修」を合格へと押し上げてくれました。

ほぼ24時間拘束

まず「2018年7月度勤務表」をもとに勤務時間中の状況を書きたいと思います。

たとえば、我々の6月27日のシフトでは「13時~24時まで」の10時間労働、休憩は1時間30分でした。これに対して指導者は13時~14時30分ごろまで「野本さん」です。そのあとに19時まで「高尾さん」となり、21時まで「戸田副支配人」でした。再び「高尾さん」に指導者が戻り、最後は「林田さん」が24時まで指導を担当しました。

つまり、勤務中は切れ目なく指導者が配置され、我々はその管理下にありました。

勤務中の拘束状態

勤務中の拘束状態

つぎは、勤務時間外の状況についてです。

我々は、この6月27日シフトの翌日が“休日”でした。しかし、むやみに夜間に出歩くことはできません。それは「研修導入と研修ルール」の禁止事項にある「外泊禁止」のため、ホテルの出入りが夜間は厳重に監視されていたからです。

このホテルは、館内に2台しかないエレベーター(EVと略します)を使わない限り、誰も“出入り”ができない構造となっていました。そして、EVには防犯カメラだけでなく、2階ロビーで「必ずドアが開く」設定となっていました。防犯カメラの映像は、事務室のモニターで監視して録画もしています。

特にフロント営業が終了する24時以降は、夜間警備員も配置され、社員と合わせて2名体制の監視となります。それゆえに飲食店が閉店する23時ごろに勤務が終わるとき、我々は「食事に行くこと」や「買い出し」を社員に伝えてから出掛けていました。

ちなみに研修中に外泊は、7月9日に「競合ホテル試泊」のレポート作成のため、近くのダイワロイネットホテルに1晩だけ泊まったことだけでした。

領収書

7月9日に試泊したダイワロイネットホテル四ツ橋の領収書

カメレオンのような立場

7月5日朝10時過ぎのことです。私1人がフロントに立っていました。そこへ香港人女性のお客様が英語で怒鳴ってきました。

彼女は「清掃員が突然入ってきて、いますぐチェックアウトしないなら、千円払えって言われたけど、どういうことよ」と言いました。私は「上司を呼んできます」と言って、フロント奥の事務室に入りました。

指導者の野本さんは、フロント奥の事務室にいました。香港人女性の怒鳴り声は、野本さんの耳にも届いたはずです。彼女は「英語わからないから、清掃員が入ったことを謝って、延長料金も要らないと伝えて、渡邉さんお願い」と言って、私に任せました。

そして、お客様と私のつぎの会話となります。

清掃員の無礼はお詫びします。あと延長料金は必要ありません。

お客様あたしは10時チェックアウトを聞いてないし、清掃員にお金を請求されるのもはじめてよ!

大変申し訳ありませんでした。

お客様それよりどうして上司は出て来ないの?

すいません。上司は英語がわからないので、私が代わりに承ります。

お客様早く上司を呼びなさい!  本社の連絡先とかも教えなさい、あなたをクビにするわよ!

少々お待ちください。上司に報告して来ます。

私は、お客様の激怒する表情から逃げるように野本さんのところに行きました。野本さんに「私が野本さんを連れて来ないから、お客様が怒って私をクビにするため、本社の連絡先を教えろと言っています」と正確に事実を伝えました。

さすがに野本さんも私に悪いと思ったのか、野本さんは「渡邉さん、この紙を渡して下さい。本社の住所と連絡先、あとコールセンターの連絡先も書いてあります。英語も通じるから大丈夫」と言いました。私は、野本さんの指示の通り、お客様につぎのように伝えました。

この紙をお渡しします。本社の連絡先とコールセンターの番号です。英語も通じます。

お客様最後まで上司を出さないのね。責任者じゃなく平社員が対応するなんて本当に失礼よ!  ネームプレートに書いてあるわね。アサミ ワタナベ、手紙も本社に送ってやるから。

申し訳ありませんでした。

お客様は、私の名前を書きとめて、“案内の紙”をもって立ち去りました。

私は、毎日提出が義務の「研修レポート」に「ラッキーコールにうまく対応できず、残念な対応になってしまった」と書きました。これに対して指導者の1人が「ラッキーコール対応もありがとうございました」とねぎらいの言葉があります。なお、ラッキーコールとは、スーパーホテルの呼び方で“クレーム”のことを言います。

7月5日の研修レポート

7月5日の研修レポート

私は、このクレームで色々と気がつきました。それは「社員と同じ制服」で、会社の経営理念が書かれた「社員の行動指針」のフェイスを毎日“フェイスアップ(唱和)”させられています。

しかし、研修ルールには「スーパーホテルの社員を名乗るのは禁止」なのです。

“研修生”という我々の立場は、スーパーホテルの都合の良い「責任転嫁する道具」なのかと思いました。それを示すように社員よりねぎらいの言葉までもらいます。我々のカメレオンのような立場こそが「4年で3,000万円が貯まる仕事」につく“覚悟と忍耐”なのかと、私は考えさせられました。

子会社での現場研修

6月30日9時30分少し前でした。いつものように事務所へ行くと、指導者は「今日は清掃実習の日ですよ。制服じゃなく、スポーツウェアに着替えて、1階へ行ってください。」と言われました。

子会社のスーパーホテルクリーン(以下クリーンと略します)が清掃業務を請け負っており、その清掃作業の実務研修ということでした。クリーンは、スーパーホテルのほとんどの店舗の館内及びホテル周囲の駐車場まで清掃業務を請け負っています。スーパーホテルの社員や我々のような業務委託を受ける者は、ホテル内や周囲の清掃をすることがありません。

しかし、もしもの場合に備えて、ベットメイクやリネンなどのセッティングができるようにするため、実務研修するとのことでした。

子会社での清掃研修(ブログ「ふたりごと」より抜粋)

子会社での清掃研修(ブログ「ふたりごと」より抜粋)

清掃作業にはノルマがあり、清掃員1人につき13部屋をこなすそうです。作業時間は「10時~15時」までの5時間です。我々も参加して1人2部屋ずつ清掃しました。とうてい13部屋は無理だと思いました。

このあと、7月1日~5日までクリーンの「メンテ朝礼」に参加します。あとでわかったのですが、毎朝9時30分からのメンテ朝礼はスーパーホテルの社員がクリーンの作業員たちに具体的に指示するものだったのです。それと同じことがスーパーホテルの社員以外である業務委託された支配人・副支配人たちにもスーパーホテルが行うよう指示しています。

同じ下請け同士なのに業務委託の支配人・副支配人が「清掃指示書など」を作成して指示するのです。氏家さんは、私に向かって「不思議な朝礼だね」と言ったのを覚えています。

ついでに、7月1日18時「身だしなみベストショット」を撮影しました。

身だしなみベストショット、2018年7月1日18時撮影

身だしなみベストショット、2018年7月1日18時撮影

これは社員も含めてアルバイトまで、スーパーホテルの店舗で働く者すべてが撮影することになっています。「身だしなみ基準」を満たした状態で撮影します。私は、本当に社員とすべてが同じなのだなと思いました。

なお、制服は2018年7月当時の全店共通のものです。制服だけでなく、金色の名札まで用意されていました。さらに研修委託店に派遣される際、スーパーホテルの社員と同じデザインの名刺を携帯し使うよう指示されました。

写真の下側は、宿泊客の面前で私を暴力で事務室に監禁した際、実行犯の男性社員5名の1人である奥森賢治部長の名刺です。

社員と同じデザインの名刺

社員と同じデザインの名刺

支配人直伝の「NET残室・料金管理」

「重要な時系列A」の通り、2018年7月13日15:30からは「NET残室・料金管理」の研修がありました。指導者は、南口支配人です。ホテルの販売価格は、支配人が決めるものであり、販売に関する業務について支配人しか教えられませんでした。

我々は、南口支配人よりつぎの資料を渡されました。 

研修センター支配人の指導

  • OPTIMA/オプティマ(在庫管理/料金変更)操作方法
  • 楽天(在庫管理/料金変更)操作方法
  • じゃらん(在庫管理/料金変更)操作方法
  • るるぶトラベル(在庫管理/料金変更)操作方法
  • ツアービルダー(在庫管理/料金変更)操作方法

南口支配人は、上記の実際の管理画面を使って説明してくれました。操作方法や管理画面で使われている機能などを詳しく教えてくれました。また、スーパーホテルLohas地下鉄四つ橋線・本町24号口の競合店となる「アパホテル」との価格競争について教えてくれました。

南口支配人が価格を下げると、アパホテルはその価格より500円下げるそうで「価格調整が大変だ」と言っていました。

要するにスーパーホテル社員の支配人と業務委託の支配人・副支配人は、同じ仕事をしているということです。さらに言えば、業務委託だけに「前年100%以上の利益確保の義務」を課して、定額委託料で無制限な利益を出すよう命じていました。

詳しくは、この先の「ライセンス」で紹介したいと思います。

我々の研修は「社員教育」だった!

あとでわかったことですが、我々の研修は「社員・業務委託予定の研修生・アルバイト・業務委託店のアルバイト」が一緒に教育されるプログラムだったのです。

「2018年7月度勤務表」にある社員欄を真ん中より少し下側、スーパーホテル社員の「河村望美さん」がいます。我々を指導したスーパーホテル社員の1人です。

我々の指導者の河村望美さん(2018年7月度勤務表より抜粋)

我々の指導者の河村望美さん(2018年7月度勤務表より抜粋)

じつは、この河村望美さんが我々と同じ研修を受けている証拠があります。スーパードリームプロジェクトブログ「ふたりごと」の2017年8月に「河村さん」が業務委託予定の研修生らと一緒に研修に参加している風景が紹介されています。本文には「中途社員新人の河村さん」と名前までしっかり掲載されていました。

社員河村さんが研修生と一緒に研修受講したことを紹介する「ふたりごと」ブログ

社員河村さんが研修生と一緒に研修受講したことを紹介する「ふたりごと」ブログ

我々は、河村さんご本人より研修指導を受けるなか、河村さんが「我々の研修をすべて受けた」と聞かされていました。河村さんが学んだ研修プログラムによって、我々は業務委託の支配人・副支配人となったのです。しかも、全店共通のスーパーホテルマニュアルに拘束されながら働いていました。

この研修は26年もの歴史があり、毎年改良が加えられています。その証拠に「ふたりごと」には、2017年7月掲載、2017年10月掲載、2018年5月掲載に「社員と業務委託予定の研修生」が一緒に教育される様子が紹介されています。

証拠・資料

重要な時系列A

子会社での現場研修

「社員と業務委託予定の研修生」が一緒に教育される様子